全ゲノムシーケンシングの応用(親魚)
全ゲノムシーケンシングは、特定のマーカー位置のサブセットのみではなく、個体の完全な遺伝子配列を読み取り、特定の個体に対して最も包括的なゲノムデータを提供します。しかし、SNPアレイやシーケンシングによるジェノタイピングアプローチよりもサンプルあたりのコストが著しく高いため、商業的な水産養殖育種プログラムでは、全ゲノムシーケンシングは、全候補育種集団の毎世代のルーチンなジェノタイピングに用いられるのではなく、特に価値のある少数の主要な親魚や参照個体に選択的に適用されるのが一般的です。主な実用的な応用としては、代表的な参照個体群からの全ゲノムシーケンシングデータを用いて新しい遺伝子マーカーを発見・特性評価し、より広範な育種集団の費用対効果の高いルーチンなジェノタイピングに使用されるその後のアレイ設計やバリアントコール参照パネルに直接活用することです。これは、ほとんどの運用中の育種プログラムにおいて、全ゲノムシーケンシングが、より安価でスケーラブルな下流のジェノタイピングツールをサポートする基礎的な発見層として機能し、ルーチンな個体ごとのジェノタイピング手法そのものではないことを意味します。特定の疾病耐性付与変異や、両親から二重に遺伝した場合に問題を引き起こす可能性のある有害な劣性変異を含む、稀で大きな効果を持つ遺伝的変異の検出は、全ゲノムシーケンシングが提供する包括的なカバレッジから特に恩恵を受けます。なぜなら、稀で重要な変異は、その特定の変異のゲノム位置近くのマーカーを含まない低密度のジェノタイピングアレイでは完全に見逃される可能性があるからです。ゲノミクス産業全体でシーケンシングコストが長期的に下落し続けるにつれて、全ゲノムシーケンシングは、もっぱら研究志向のツールから、最も先進的で資源が豊富な商業的水産養殖育種プログラムにおける実用的な応用へと徐々に拡大してきました。しかし、現状では、ほとんどの育種プログラムが日々の選抜決定に依存しているルーチンな集団全体のジェノタイピング手法というよりも、より選択的かつ戦略的に展開されるツールであることに変わりはありません。